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平成12年6月定例会(第12日) 名簿
平成12年6月定例会(第12日) 本文

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  1. 福岡県議会 2000-06-12
    平成12年6月定例会(第12日) 本文


    取得元: 福岡県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-07
    ↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1 ◯議長(藤田 茂令君) ただいまから本日の会議を開きます。  日程に従い一般質問を行います。順次発言を許可いたします。古川忠君。(拍手) *古川議員質問 2 ◯五十四番(古川 忠君)登壇 皆さん、おはようございます。自由民主党の古川忠でございます。  県議会もしくは我々県議会議員の最も重要な役割の一つは、言うまでもなく法律の立案や審査、県で言えば条例の制定やチェックであります。昨年の十二月議会、またさきの二月議会を通じ、地方分権一括法の関係で大量五十七件もの県条例が執行部から提案、可決されました。今議会でも引き続き、この関連で数件の条例が提案されるなどまさに条例ラッシュの感すらあります。これは、昨年十一月に国で成立した地方分権一括法を受けて急ぎ整備されたためと思いますが、提案された条例の多くは、従来あった政令等をそのまま字句を写しかえただけで中身は全く同じ、ただ新しい条例ができただけというのもいっぱいあります。地方分権のうねりは、もう随分以前からありましたし、国の地方分権推進委員会が平成七年七月に発足してから、数えてちょうど五年になるわけであります。待望久しかった地方分権が、初めて具体的に示された割には、これで実際に県の権限がどこまで膨らんだのか、これから県の独自性を生かしてやれることは何があるのかさっぱり見えてきません。知事は、この分権一括法における権限移譲について、どのような評価をしておられるか、まずお伺いしたいと思います。  地方分権一括法の法律本数は、全部で四百七十五本、本県の該当法律本数が四百四本であると聞いております。条例改正等に携わった部署は大変な忙しさだったと思いますし、御苦労に対しては敬意を表するものであります。ただ、分権はまだほんの一部で、やっと入り口に差しかかったところだろうと思います。また、先ほど申しましたように、せっかく権限を移譲されたのに、県の条例をよく点検してみますと、これまでの国の方針を一歩も出ていないように思えます。例えば、県民生活に大変身近な手数料条例にしても、地方自治法の改正により手数料に関する事項は条例で定めることとされ、まさに県独自の判断で決めていいことになったにもかかわらず、以前と全く一緒となっているのであります。県独自の判断や思いは、一体どの条例に反映されているのでしょうか。全体から見れば、権限移譲の範囲は不十分かもしれませんが、地方分権を進めていくという一括法の精神を最大に生かし、少しでも県の独自性を発揮したものであってほしかったと思うのでありますけれども、知事のお考えをお尋ねしたいと思います。  この議会に提案された条例も含めて、いわゆる地方分権一括法に関連した県条例の改正や追加等は、一応一段落したように思いますが、今申しましたように関係の部課での検討は果たして十分に行われたのでしょうか。私は、もっともっと県の事情に合ったものや県独自の考え方が出るような方向で、さらに修正や補充すべき余地があるように思いますが、今後の取り組み方について、またこれからさらに手をつける事項があれば伺いたいと思います。  また、地方分権を今後さらに進めるためには、今議会でもたびたび議論があっております自主財源の確保や成果重視の理念の導入による県みずからの評価システム等の必要が出てくると思いますが、県としてさらに分権について検討を進めていくためにどのようなことを考えておられるのか、お伺いしたいと思います。  次に、環境に関する条例についての質問に移ります。環境問題は、青少年問題、介護保険等の福祉問題とともに、県民の暮らしの安心にかかわる最も重要なテーマであります。しかしながら、近年ダイオキシンやオゾン層、それに一般、産業廃棄物の問題など従来想定しなかった多様性を持つようになり、また地球規模で考えるべき問題など広範な対策を要するようになりました。さきに県条例について質問をいたしましたが、今回は環境に対する条例についての観点から質問をさせていただきます。  環境行政を重視したいという知事の方針から環境部が独立して間もないわけですが、現在この部が所管しております環境等に関する条例は、昭和四十五年に制定された県公害防止条例、昭和四十八年の水質汚濁にかかわる条例、また県環境保全に関する条例、自然公園条例など十件以上にも上ります。どれも一九六〇年、七〇年代のあの水俣病や四日市ぜんそくなどいわゆる公害問題華やかなときにできたものであります。今となってはもう必要がないのではないかと思われる条文や、互いにばらばらで条文の趣旨が重なっているものすらあります。ましてや、現在論じられている環境問題には全く古めかしくて通用しないものまであるようです。環境行政をめぐる状況が急速に変動している中、点検、見直しの時期に来ていると思いますし、もうとっくの昔にやっておかなきゃならないくらいだとも思いますが、知事はこれらの環境に関する県条例に対して、どのようなお考えを持っておられるのかお聞きしたいと思います。  この環境に関する新しい問題の中には、例えば車社会の急速な進展とともに生じてきた自動車公害などの問題があります。車社会になり、排ガスや騒音問題等が我々の日常生活にとって深刻な問題になり始めてもう十年、二十年以上もたつのに、県の環境に関する条例の中には自動車に関する考え方は一つも入っておりません。また、近年のフロンガスによるオゾン層破壊地球温暖化の問題など最近はかつての四日市や川崎のように一地域の公害問題から、地球規模の環境汚染が大きく、また大変深刻なテーマとして浮かび上がってまいりました。もちろん我が福岡県の環境に関する条例には、これらの視点も全く欠落しているのであります。また、従来の公害規制の考え方では、まず工場や事業所など直接公害の発生源に対する規制や監視でありましたが、今後は法の組み立てがこのような排出企業の取り締まりだけでは済まなくなってきているようにも思います。温暖化を防ぐための家庭の冷暖房などの熱源の抑制やいわゆるアイドリング規制に見られるように、私たち市民側の生活や権利を直接規制するような概念も必要となってきたように思います。これらの考え方を盛り込んで、現在ある条例の修正、廃止、また新しい制定などが急務と思うのですが、知事のお考えをお伺いしたいと思います。  今、条例制定の話ばかり申しましたが、これからの環境問題の解決のためには条例による規制や取り締まりのほか、アジェンダ計画などに見られるような実施計画において明確な目標の設定や管理、また啓発や教育など多面的でしかも迅速な対応が必要と思います。そうだとすれば、これらをどう組み合わせていくか、また計画の目標管理体制の確立や充実が大切だと思いますが、これについてどのような考えなり方針を持っておられるのかお伺いしたいと思います。  また、知事はさきの代表質問の冨田議員の御質問に対して、新しい環境問題については当面、規則や計画、教育等で対応していくといったニュアンスの答弁がありました。環境問題は、例えば環境ホルモンなどまだ要因が確定されていないものなど次々に新しい問題が発生し、行政が後追い後追いになっている感を強く受けます。ましてや、今の条例制定のプロセスではとても追いつけないということで、いわゆる環境計画などでつけ焼き刃の対応しかやれていないようにも見えます。福岡県は、これからもこのようにアジェンダ計画に基づいて施策を実施していくことで環境問題に対応しようとしているのか、それともいずれきちんと条例等を整備していくつもりなのか、知事の明確な御答弁をお願いして私の質問を終わります。  御清聴ありがとうございました。(拍手) 3 ◯議長(藤田 茂令君) 麻生知事。 *知事答弁 4 ◯知事(麻生 渡君)登壇 地方分権の問題について、第一は、このたびの地方分権一括法におきます権限移譲の問題についてでございます。この地方分権一括法では、中心がこれまでの機関委任事務を廃止いたしまして、これを地方自治体の固有の自治事務にするということが最も大きな改革の点になっているわけでございます。そして、このような自治事務が新たにつくられ、機関委任事務が大部分こちらに移されてきたということ自体は地方自治体がみずからの責任で判断をし、そして自主的に処理できる範囲が大幅に拡大されたわけでございますから、その点では私どもの地方自治の確立に向けまして大きな前進であるというふうに考えております。ただ、我々は分権一括法の過程におきまして単に機関委任事務を移すというだけの自治事務ではなくて、現在国が持っております権限そのものを多く地方に移すということも要請をいたしてきたわけでありますけれども、その点から見ますと今回の自治事務の新たな範囲というのは決して十分ではないと思っております。まだまだ多くの権限を自治事務といたしまして国から地方へ移していくということが必要であるというふうに思っているわけであります。  それから、今回の地方分権一括法関連で多くの条例改正を行ったわけであります。この条例改正は、国の法令の改正が非常におくれまして、一方で新年度、四月一日から行うという状況の中で多くの作業を集中して行ったというような事情がございます。そういうこともございまして、関連の条例はこれまでの機関委任事務自治事務に移していくという、専らそれをとにかく円滑にやっていくということの作業が中心になっていったわけでございまして、したがいまして御指摘のように、その際県独自としてどういう考え方をし、新たにふやしていくとか、新しい考え方を入れていくというような点については大変検討が進まないという状況の中での規定の整備になったわけでございます。このような状況でございます。ただ、その中でも環境あるいは労働分野、こういうところでの審議会条例、こういう点につきましては審議会の統合を行っております。  それからまた、地方事務官制度の廃止に伴います機構改革、再編も相当新しい考え方を入れて行ったということがございます。それからまた、私どもの方から市町村への権限移譲これも積極的に行うというようなことをやっております。この点につきましては、ある程度前向きな措置をとったということでございますが、全体といたしましては御指摘のようにともかく自治事務が行えるという態勢を整えるための条例改正になったというのが実態でございます。  このようなことでございますが、それでは本県の事情あるいは独自の方針を盛り込んだ条例をしっかりつくっていかなければいけないではないかという御指摘でございます。それはまさにそのとおりでございまして、私ども多くの行政課題、政策課題を持っております。これをどのような政策手段、やり方によりまして解決をしていくのかということでございますが、政策手段はいろんなものがあるわけでございますけれども、条例というような法的な措置による手段も非常に有用かつ重要な手段でございます。したがいまして、それぞれの政策課題そしてそれに対応する政策手段を十分検討しまして必要な本県独自の条例の制定、改正、これにつきまして検討をしていきたいと思っております。いずれにいたしましても、今回の分権一括法はこれまでの地方自治制度の考え方を確かに大きく変える大きな改革でございます。この改革の趣旨が十分生かされる、そのためには独自で私どもの政策課題を見つけ出し、そしてそれに対する解決策を見つけ出していくということが必要でございまして、そのためには職員の意識改革ということも非常に大切でございます。この点につきましては、繰り返し意識の改革を行うように努力をいたしておりますけれども、これを積極的に行いまして地方分権時代にふさわしい福岡県の独自の行政運営が行われますように取り組んでまいる考えでございます。
     次に、分権を行いますための自主財源の確保の問題についてでございます。今回の地方分権改革では、権限面につきましては、今申し上げましたような大きな変革が行われたわけでございますが、実際にその権限を運用しながらしっかりした行政を行いますための自主的な財源、これが不可欠であるわけでございますが、その財源の充実につきましては、方向は充実という方向を出しておりますけれども、具体的にそれをどうするのかということについては、大きな課題として残されたままになっておるという状況でございます。このため、今後も国と地方の財源の再配分、これを進めるように国に対して働きかけをずっと続けていかなければいけないというふうに思っております。また、今回の地方分権の改革に関連いたしまして、地方財政の制度も少し変わりました。そして、独自の税制をとる余地が広がってきております。これにつきましては、研究会を設けてこれをどういうふうに活用していくか取り組んでいるところでございます。  また、並行いたしまして行政評価システムも大事でございまして、これは行政の総合性の確保あるいは実際の成果が本当にどうなっておるかということをきちっと転換をする、そのような成果重視への転換を点検する、転換を図るという意味でも大切でございますから、行政評価システムを積極的に行いまして新しい時代に的確に合った県政を推進をしていきたいというふうに考えております。  環境関連の条例についてでございます。環境関連の現在の県の条例は、御質問の中にもございましたように、多数あるわけでございます。そして、制定された時期はいわゆる産業公害が非常に深刻であった時代からずっとそれぞれの課題に応じた格好で制定をされてきたわけでございます。そして、それぞれの条例は、その時代の課題に対しては一つの大きな役割を果たしてきておるわけでございますが、環境行政の課題は、かつてのいわゆる公害時代からもっと広く、環境という形で非常に幅広い政策課題を総合的にとらえていくという時代に変わってきておるわけでございます。特に、これからの環境政策は、循環型社会をつくり上げていく、それによって環境負荷を減らしていく、あるいは地球温暖化というような視野を非常に広げまして地球全体の問題の一部に我々は取り組んでいくというような考え方をとっていく必要がございます。その意味で、環境問題は非常に多様化いたしておりますし、また広がりも非常に広いということになったわけでございます。したがいまして、このような環境政策の変化に適切に対応できますように現在の条例あるいは新しい条例、そういうものを点検し、考えていく必要があるというふうに思っているわけであります。  次に、環境政策におきます政策手法の問題についてでございます。かつての産業公害時代におきましては、環境政策あるいは公害政策の一番中心的な規制は、事業者に対するいろんな行為の規制であったわけでございます。しかし、現在は環境問題という非常に幅広い政策課題に対応していかなければいけないわけでございます。その場合には、政策手段も当然変わってくるわけでございます。そして、政策手段の中におきます規制的な手法、これはかつては事業者に対する規制が中心であったわけでございますが、今後は単に事業者のみならず一般的な県民あるいは市民にいろんな協力を求める。その協力の求め方として規制的な手法というのも一つの方法であるというふうに考えております。さらに、規制的な方法に加えまして経済的なもっとインセンティブを使った方法、例えば環境税の利用というようなこと、あるいはいろんな県民、市民の協力を求めていくという意味での啓発事業あるいは自主的なボランティア活動の取り入れ、こういうような政策手段を多様に検討し、取り入れていくということが必要になってきておるというふうに認識をいたしておりまして、このような考え方のもとに環境政策は総合的に政策手段を取り入れながらやっていく必要があるというふうに思っております。  次に、環境問題の解決に当たりまして、しっかりした目標管理体制が必要ではないかという御指摘でございます。これもそのとおりでございまして、できるだけ環境問題を考えるに当たりましてはどういう状況を実現しようとしておるのかという意味での目標を明確に設定をして、それに対してどこまで実現をしておるのか、政策課題を達成しておるのかということを点検をしていくということが非常に大事であると思っております。したがいまして、その意味では現在庁内では環境対策協議会というのを設けております。そしてまたそれぞれの環境課題に対応いたしまして、部会を設定をしてできるだけ相互の連絡のとれた政策をつくり上げ、実行しようといたしております。その中で、各施策ごとの目標設定あるいは達成状況の評価、こういうことをきちっと行っていくというような意味での目標管理体制の一層の充実に努めてまいらなければいけないと考えているわけでございます。さらに、この目標達成は行政内部だけでは当然不十分でございます。広く県民の皆さんあるいは関連の事業者、関係する行政機関、このようなそれぞれの主体が自分の役割を理解し、その前進度合いを確認をしていくということが必要でございます。したがいまして、このような総合的な推進のために県の環境総合基本計画ができておるわけでございますが、それを全体として推進をいたします県の環境県民会議、このようなものを一層活用していかなければいけないというふうに思っております。  最後に、環境問題に対処いたしますための制度についての考え方でございますが、これはこれまで御答弁を申し上げた点と重なるわけでございますけれども、いずれにいたしましても現在の環境問題は課題が非常に幅広くなっております。また、性格もいろいろ違ったものになっておりますし、かつ政策を実際に効果あらしめますためには、事業者のみならず非常に多くの関係の方々の参加を求め、協力が必要になっておるということでございます。そのような状況の中で、政策を実現する制度につきましても、国の法律のほか条例あるいは各種の計画に基づきまして計画を示し、それを実行していくというような形のものを考えていかなければいけないと思っているわけでございまして、これもやはり政策課題ごとに体系化しながら実践をしていかなければいけないと思っています。このような観点に立ちまして、必要な制度あるいは条例の見直し、時代の要請に即した実効性の高い環境政策を推進をしてまいりたいと考えております。 5 ◯議長(藤田 茂令君) 古川忠君。 6 ◯五十四番(古川 忠君)登壇 知事の大変御丁寧な御答弁をいただきました。質問者より長いんじゃないかというぐらい大変長い御答弁で、知事の両問題に対する意欲がよくわかりましたけれども、エールを送るつもりで少し確認をしておきたいと思います。  まず第一番目の、地方分権一括法に関する独自の条例をつくってはどうかという問題ですけれども、知事自身の意欲は大変あるといいましょうか、伝わってきますけれども、知事おっしゃるように、各部各課の職員の皆さんが本当にそこまで思っているんだろうかということを私はいつも思います。といいますのも、この地方分権は先ほど言いましたように、推進会議ができてからもう既に五年です。待ちに待ったいわゆる分権一括法の制定です。ここでその成果といいましょうか、あらわすべきときに知事はそういうエクスキューズをおっしゃいましたけれども、大変差し迫った、短い時間だったからと、こうおっしゃいましたけれども、五年間、もっと言えばもっと前からこういうものはこうしたいという思いがあったんではないかな、あってしかるべきと私は思っております。例えば手数料条例にしましても、私の文教の所管でもありますが、銃刀法の登録手数料、それから教員の受験の手数料。例えばですよ、銃刀法をもって、それを登録する方は多少所得が高いでしょう。それから県民全体から見たらわずかな数です。もう少し、僕は倍か三倍でも上げていいんじゃないかなと思っているんですね。一方では、たくさんの方が教員試験を受けられるように安くしたらどうかなと常々思っているわけです。そういう思いを───非常に身近な例を申し上げましたけれども、その条例で反映できる、そういう権限をまさにこの地方が与えられたわけです。それを生かさなくて、何の地方分権だろうかという思いを私は強くしておるわけです。これは、単に忙しかった、期間が短かったからという話でなくて、まだまだ地方分権に対する思いが少ない、仕方なしにやったんではないかなと、悪く言えばですね、そう思われるぐらいのものではなかったかと、大変厳しいようですけれども、私はそんな気もいたします。知事が非常に力強いお言葉で地方分権の意義についておっしゃいましたので、今後さらに知事の腕前といいましょうか、意欲を見てまいりたい、また、議会としてもエールを送りたいと、こういうふうに思っております。  次に、環境問題ですけれども、いわゆる福岡県の条例というのは、知事もおっしゃったように産業公害の非常に華やかなころにできた非常に古いものばかりです。しかも十幾つもあるんです。ちょっとここに幾つか持ってきてあるんですが、例えばこれが福岡県の公害防止条例、水質汚濁の条例、それから環境保全、十もあるんですよ、こんなのが。中身はかなり似通ったものがあるんです。例えば、イオンを排出する工場の立地の規制でありますとか、それは両方に入っているんです。そういうふうなものがあるし、またこれだけでは対応し切れない、知事もそういう認識でおっしゃいましたけれども、問題があるわけです。早急にこんなものは統合すべきなんです。そして新しい根を持った条例をもっともっと早くつくるべきなんです。それが非常におくれている。大体福岡県は何をやっているんだと私は思いたいぐらい鈍いと思っております。  そこで、先日冨田議員の方からもお話がちょっとありましたけれども、改選前ですけれども、私ども一、二期生を中心に条例を勉強しようという立法研究会というのをつくりまして、いろいろ勉強させていただきました。環境先進県に行ってみようということで、有志で兵庫県に行ってまいりました。いろいろお話聞きましたら、環境の保全と創造に関する条例というのを兵庫県がつくっておられます。これがいつできたかと言ったら、平成七年の七月なんです。それまであった三つのいわゆるこういう公害防止条例なんかをとにかくまとめようと、そしてきちっと整理しよう、そして新しい理念も入れようということでつくられたそうです。平成七年の七月です。その年の二月でしたかね、大震災があったんです。大変忙しい中にもかかわらず、兵庫県はちゃんとつくったんです。この中に、非常に僕は感心するのは、きちっと「自動車公害の防止」という項目があります。それから「資源の循環的な利用の促進」いわゆるリサイクルの考え方も入っております。それから地球環境の保全、温暖化の防止、オゾン層の保護、そういう問題も既に平成七年に入っているんですよ、平成七年の条例の中に。条例つくるのは多分もっと前からでしょう。しかも、大震災の忙しい中で兵庫県はやっているんです。もちろんその中には、将来を見越したゆとりと潤いのある美しい環境の創造いわゆる優しさというものもきちっと理念に入って、こういう一つの条例ができ上がっているわけです。こういうのを見るにつけ、福岡県の環境行政のおくれといいましょうか、今一生懸命頑張ってあると思いますから昔の話を幾らしてもしようがありませんけれども、余りにも遅いと、私はそういう考えを持っております。福岡県の条例の中にはですね、まだ公安委員会が所管している騒音防止条例もあるんです。そんなものまであるんですよ。その立法研究会では、例えば条例を十年で見直す条例監視条例をつくろうかという非常にユニークな案まで出ました。それをやると、余りにも知事の行政権限を縛りますから提案を見送りましたけれども、私はやっぱり自分たちの執行の基礎になる条例というのは、福岡県の職員はもちろん、議会も常に監視をし、見直すべきだと私は常々思っております。そういう意味からしたら、福岡県の環境に関する条例は余りにもお粗末でございます。そういうことを一つ申し上げて奮起を促したいと思います。  それから、いわゆる条例を見直したいというお話は知事もおっしゃいましたけれども、これからの環境行政の岐路は、先ほど知事がおっしゃいましたように従来の産業公害型、発生源を絶つ、そういうものから我々みずからの、いわゆる市民、県民の権利や義務、それをいわゆる規制する、場合によってはアイドリング禁止も我々悩んだところですけれども、罰則を科してでもやるべきか、そういう時代の岐路に私は来ていると思います。そこまで環境問題、特に地球環境問題は深刻なところまで来ているわけです。そこで、条例である程度そこまで踏み込むのか、もしくは規則でやるのか、その方針の私は岐路にあると思います。そういうところで知事の御答弁を求めたんですけれども、とりあえず条例は見直していきたいという御答弁でしたから、その決断まではこの場ではお聞きしませんけれども、私はそういう岐路にあると思うんです。  先般の御質問の中で、古賀市の車の野積みの話がありました。いろんな規則や勧告ではできないんです。その中で、分権の話ではありませんけれども、今回の地方自治法の改正によって、県民に義務を課し、または権利を制限するには条例で定めてよろしいと、こうなったんですよ。ですから、だれが見ても明らかにこれはおかしい、これを早く手をつけるべきだというところは、私は条例をつくってでもきちっとやらないと、何か環境問題というと、環境はいろいろあって個人の問題だから勧告や指導で何とかしますと。ところが言うこと聞かぬもんですから、根拠条例がありませんからできませんと、こういうことになるんですね。私は矛盾していると思いますよ。そのときには規則でやると言いながら、条例がないからできませんと、こう言う。やはり周囲にたくさんそんな問題があります。例えば、隣の家の方がですよ、いろんなごみをどんどん山積みにします。これは自分の所有物だ、自分の土地に置いて何が悪いか、こう言い張ったとします。それがある日、崩れて落ちてきて子供が死んだとします。だれが責任持ちますか。きっと行政の責任が問われると私は思います。そういうことがないように、やはり規制すべきものは規制する。条例をつくるべきところはつくる。そのめり張りをしっかりきかした環境行政をやっていかないとあちらこちらで混乱が生じてくる、私はこのような気がいたしております。環境行政に対するもう少し迅速な、シビアな動きを期待しまして私の質問を終わりたいと思います。  御清聴ありがとうございました。(拍手) 7 ◯議長(藤田 茂令君) 後藤元秀君。(拍手) *後藤議員質問 8 ◯六十二番(後藤 元秀君)登壇 新世紀緑友会の後藤元秀でございます。ただいま古川議員から、大変高尚な、レベルの高い質問をしていただきました。同じ環境問題ですが、古川議員が、条例の整備が福岡県は非常におくれている、早く何とか整備しろという内容でございまして、もっともだと思います。ただ、条例の整備だけではなくて、現実対応がいかにおくれているか、今回のシュレッダーダストについての問題がその典型的な一つではないかと思います。そういう意味で今回取り上げさせていただきます。  実は、このシュレッダーダストについては、平成八年二月議会一般質問で取り上げたところではありますが、最近の動きの変化に加え予想以上の困難な状況が浮かび上がっており、県としてどのように対応、処置、指導をしていくか大きな関心を抱いております。再び質問させていただくことになりましたが、よろしく御回答をお願いしたいと思います。  シュレッダーダストというのは、御承知のように廃自動車や使い捨てられた家電製品の中から有用品つまりそのままリサイクル、リユースできるものを取り外し、残ったものを圧縮、さらにカッターで細かく破砕したものから鉄や非鉄金属を回収、最後に残されたものがいわゆるシュレッダーダストです。極めて扱いにくい厄介者です。今日の車社会の中で、社会生活、社会活動を支える車はなくてはならない存在ですが、当然廃自動車、スクラップも急増しており、全国で年間約五百万台が排出されているようです。このうち、数%が県内でも発生しています。福岡県ではどうなのか調べてみました。九州運輸局の五月末での県内の車の保有台数は約二百九十六万台で、このうち十年に一回切りかえるとして一割が廃車になると仮定しますと、年間約二十九万六千台がスクラップになるわけです。実際にどのくらいのスクラップが県内で処理されているかといいますと、県内のシュレッダー業者五社を調べてみました。内訳は北九州市三社、福岡、柳川各一社ですが、北九州市内の処理量は最新の推計でおよそ七万三千トン、あとの二社を加えて八万トンほどと見られています。十トントラックで八千台分以上もの量になります。もちろんこの中には県外からの持ち込みもあります。前回の私の質問に当時の環境整備局長は、年間四万四千トンのシュレッダーダストが発生すると推計をされておりましたが、この数値、予測をはるかに上回る数の廃自動車が処理されており、それに伴ってシュレッダーダストが生み出されております。なお、この上に今議会でも代表質問で取り上げられておりましたように、シュレッダーダスト予備軍つまり自動車解体業者や金属回収業者の持つ有価物であるスクラップは各地に野積み、放置状態で地域の大きな環境問題となっています。これらが最終処分を待っているわけですから、あるシュレッダー業者の弁をかりますと、最終処分場さえ安価で安定的に受け入れてくれるなら、まだまだニーズはたくさんある。特に、関東、沖縄地区から問い合わせが多いとのことです。全国でこの廃自動車の処理は大問題となっています。  本県内での処理はどのように行われているのか、このシュレッダーダストはどのように生み出されていくのか調べてみました。その行程は、廃自動車からまずタイヤ、エンジン、バッテリーなどが取り外されます。残ったボディーはプレス機で一つの塊とされ、さらにシュレッダー処理、カッターで細かく切り刻まれます。それに普通は磁力をかけて鉄を回収、残ったものがシュレッダーダストと呼ばれています。普通乗用車一台分から約百五十キロから百六十キロ出ます。このシュレッダーダストは、さらにこれを焼却処分するなどして最終処置されるのが全国では当たり前となっています。なぜなら、ダストの中には銅や鉛などのほか多くの有害物質、化学物質が含まれており、このまま処分すると二次公害被害につながるからです。現在では、このダストの中に含まれる銅や鉛、アルミの金属類、ガラス、プラスチック類を振動、メッシュ、重量差、風力、磁力などの複数の手法を組み合わせて細かく分類して回収する技術が進んでいます。この処理の後に残された本当のかすは、日本自動車工業会やトヨタ自動車などの最新技術を使った実証実験で、今日では一二、三%まで激減しています。プラスチック、繊維などを使った乾留ガスでのエネルギーリサイクルや溶融炉を使った最終処理などで、このかすの容量は限りなくゼロに近づきつつあります。実用化で容量を五分の一にする、これを二〇一五年までに達成するという目標を通産省から与えられ、業界では各研究機関、企業で技術開発にしのぎを削っています。しかし、これが実用化となると、まだまだハードルは幾つもあります。特に、コストが一番大きな問題となっています。例えば、プラスチックの再生処理についてもバージンプラスチックの方がはるかに安くなっているなどリサイクルの大きな壁です。こういう場面にこそ行政の支援が必要なのかもしれません。行政の力をかりてでも、いずれ解決されることを期待しています。こうした最新の処理法を駆使した処分施設は、青森県では日量三百トンのプラントが稼働しており、九州では熊本県内でロータリーキルンを使った乾留ガス化によるサーマルリサイクルの設備も動き出しております。もちろん県内でも新日鐡関連企業の出資企業がシュレッダーダストの銅の部分を取り除いたものをボディー部分ごとコークスがわりに利用しているとの話もあります。ところが、これらで処理されているのはごくごく一部、それも実証実験の段階のようで、大半が生のダストのまま処分されているのが実態です。このような最新技術で処理法が開発されておりますが、なぜか県内では活用、実用化が全くされておりません。特に北九州市では、三社ともシュレッダーダストは若松区の響灘地区にそのまま埋め立られているようです。生のままです。有害物質を含んだダストが未処理のまま埋め立てられ、どのような状況になっているのか、埋立地の一区画では計画地盤の高さをはるかに超えて、野積み、野ざらし状態です。二メートル以上もオーバーしています。これが風によって海に運ばれ、海洋汚染の心配も指摘されているわけです。ダストの約三分の二がプラスチックや発泡ウレタン、繊維など軽い物質です。これらに鉛などの有害物質がまじって風に飛ばされているんです。危ないものではありませんか。こんなシュレッダーダストを未処理で埋め立てた場合、どんなことが想定されるのか。柔らかいスポンジ状のダストは、強度がなく地盤が安定しません。化学物質が不安定のまま埋め立てられるために、流出したり熱やガスが発生するおそれすらあります。さらに、土地として利用する場合、高層建築物が建てられないなど構造物に制限があり、土地利用が制約されます。これでは用地を売却できなくなる。言いかえれば、死に地をつくっていることになります、貴重な税金を使って。前回の一般質問に対し麻生知事は、シュレッダーダストの問題は極めて重要、深刻な問題ととらえた上で、「県内の廃自動車処分の緊急性にかんがみまして、事前選別あるいは処分場の建設、運営を含みました県の望ましい廃自動車対策につきまして、メーカーを加えた産学官によります協議の場を設けまして検討」すると答弁されましたが、その後いかがなんでしょうか。今日までどのような協議の場が設けられ、どのようなメンバーで、どのような内容の検討がなされて、どんな結論が得られ、どのような効果が出ているのかお答えいただきたい。また、民間のこのような処理を補完する立場で、「安全性あるいは信頼性にすぐれたモデル的な公共関与によります広域の最終処分場の早期確保にも努め」るとお答えになっておりますが、その結果はどのようになったのか、平成七年度に設置した福岡県広域廃棄物対策協議会を活用して積極的に取り組んだ結果、シュレッダーダスト問題についてどのような結論が生まれ、効果が生まれたのか教えていただきたいと思います。私の知る限りでは、先ほど申し上げた響灘にシュレッダーダストを生で処置する以外処分地はなく、これまで県が取り組んできたことは実を結んでないように思えます。  井上環境部長は、昨日の公明党・新風の上岡議員の質問に対し、産業廃棄物は資源、減量化がこれまでのように推移すれば、県内の処分場を満遍なく利用して、今後七年程度は考えられるとの答弁をされました。この七年間の余裕の大半は響灘地区と思われます。この響灘地区は、現在捨てられているブロック、場所が埋立計画量を大幅に超えているため、先ほど申し上げました二メートルも三メートル近くも山積みにされたままです。将来、ほかのブロック、ほかの地域に捨てさせてもらうしかないようですが、事このシュレッダーダストについては、現在のように生のままでは、先ほど申し上げましたように跡地の利用はできません。この予定地は、将来港として埠頭用地その他関係用地のはずですが、地盤が安定しないところにそんなもの持ってこられるわけがありません。生のシュレッダーダストをそんなところに捨てられるわけがないと思うんですが、いかがですか。埋立処分をしてもらうなら、処分できるように処置しなければならないのではないですか。例えば、生のシュレッダーダストを溶融固化や乾留ガス化するなど、そういう処置が必要ではないでしょうか。そのために県として民間に対して何ができるのか、この点についてもお答えいただきたいと思います。そして、これを解決しなければ井上部長の言うように、七年の余裕というのは全くシュレッダーダスト処分については絵にかいたもちではないか、夢のような話ではないかと思いますが、いかがでしょうか。県内のどこに捨てるのか、お答えをいただきたい。廃棄物は、北九州市の響灘任せ、響灘さんにおんぶにだっこの姿勢では通用しないのではないですか。しっかりとした御所見をいただきたい。  また、前回の質問で当時の環境整備局長は、廃自動車について解体業者、シュレッダー業者、最終処分業者、処理状況調査を行ってこの調査結果をもとに所要の対策を講ずるとお答えになっておりますが、それがこれまでどのように講じられ、どのような効果を生んできたのかお答えいただきたい。私の知る限りでは、前回の質問からこの四年余り廃自動車対策については何の進展、進歩もなく、県はただ手をこまねいて時を過ごしてきただけではないかと思っています。責任ある答弁を求めて、一回目の質問を終わります。(拍手) 9 ◯議長(藤田 茂令君) 麻生知事。 *知事答弁 10 ◯知事(麻生 渡君)登壇 シュレッダーダスト対策についてでございますが、平成八年の九月に産業界、学識経験者それから関係の県を中心といたしました行政から構成をいたします廃自動車研究会を設置をいたしました。この研究会は、これまで四回開催をいたしておりまして、この研究会のいろんな活動を通じまして関係者間での協議を実施をしてきております。主として検討、協議をしておりますのは、シュレッダーダストの処理体系、処理システムを全体としてどういうふうに構築していくのか、それからそもそもリサイクルしやすい設計あるいは技術というものが自動車の中に取り込まれておかなければいけない、その課題の問題、そしてまた、放棄されております自動車撤去の支援策というような点を中心に検討、協議をしてきておるわけでございます。しかし、これも御指摘がございましたように、この中で具体的にこれという実施に至るところにはまだ至っていないわけでございます。今、この研究会におきましては、このようないろんな課題があるわけでございますけれども、溶融処理という方法がとれないかということを一つの焦点といたしておりまして、これの処理コストの問題を含めて検討をいたしておるわけでございます。今後、さらに九州通産局の方では、九州全体としてこの問題を考えていきたいということでございまして、使用済みの自動車のモデルリサイクルを検討したいということでございます。その委員会も設置がされておりまして、そこでも検討がなされておりまして、我々もこれに参加いたしまして、私どもの研究会の成果も報告しながら、地域を広げた形での検討のサイドにも力を入れているという状況でございます。  それから、第二番目の点でございますが、公共関与によります最終処分場の確保はどうなっておるかという点でございます。公共関与によります広域最終処分場、これは早く確保したいということでいろんな努力を積み重ねてまいりました。そのうちの一つでございますが、安定型のものにつきましては久山の処分場を開設いたしたわけでございます。しかし、これを実際に運営いたしますと、経営的にはいろいろ難しい問題を持っているわけであります。管理型処分場につきましては、まだ確保に至っていないというのが状況でございます。  一方、公共関与型の最終処分場開設努力をいたしておりますが、この間にリサイクル率が急速に向上してきた、それからまた廃棄物処理法の改正によりまして設置のための手続が大幅に変わりまして、特に関係住民の意見を事前に聞くというような手続の強化あるいは設置の技術基準が非常に強く強化をされております。さらに、このような事業を行った場合の採算性の問題ということも非常に大きな課題になっております。このように公共関与を取り巻きます状況が大きく変わりましたものですから、昨年の十二月に公共関与によります産業廃棄物処理検討委員会を設置をいたしておりまして、循環型社会形成の推進基本法を初めといたしますリサイクル関連法が次々と制定をされております。そのような変化も取り入れながら、中長期的な観点で公共関与のあり方を検討をいたしておるところでございます。今後、シュレッダーダストを含みます処理困難物の対応につきましても検討をいたしたいと思っています。その他の質問につきましては、環境部長より答弁をさせます。 11 ◯議長(藤田 茂令君) 井上環境部長。 *環境部長答弁 12 ◯環境部長(井上 研一郎君)登壇 三点についてお答えいたします。  まず、広域廃棄物対策協議会の取り組みの経緯についてでございます。福岡県と北九州市、福岡市、それから久留米、飯塚、大牟田で構成します福岡県広域廃棄物対策協議会を平成七年に設置をいたしました。この協議会では、最終処分場の現状を踏まえまして、各自治体共通の課題となっている最終処分場の不足、この問題は非常に緊急性の高い問題であり、全県的な取り組みが必要であるとの共通認識に基づきまして、率直な意見交換を行い、課題解決に向け広域的な観点からの取り組みが必要であると認識の共通化を図ったところでございます。この協議会につきましては、現在、県、福岡市、北九州市の部長、局長会議において引き継いでおりまして、広域的な課題について協議、検討を行っております。  この会議の成果でございますが、今年度から本格着工しますRDF化施設の取り組みや北九州におきます緊急的な焼却灰の受け入れ及び産業廃棄物の受け入れが去年は制限があったわけでございますが、これの緩和等の協議を行ったところでございます。こういった成果は、現在廃棄物問題に大きく貢献しておるというふうに考えておるところでございます。  次に、シュレッダーダストの最終処分先についてでございます。シュレッダーダストの処分につきましては、御指摘もございましたが、北九州市の管理型処分場においてその大部分が処分されており、残りにつきましては近県の民間の処分場等で処分されております。今後、処分先の検討を行いますとともに、リサイクル率を高めるなど最終処分量を減少させることも検討を行ってまいりたいと考えております。  最後に、処理状況調査結果に基づく対策と効果でございます。処理状況調査につきましては、平成七年度に実施をしたところでございます。この調査結果に基づき、平成十年九月に廃自動車の取り扱いに係る手引を策定しまして、事業者に対し適切な取り扱いについての周知を図りますとともに、あわせて事業者に立入調査を行い、排水処理やフロン回収の状況などについて適切に行うよう指導をしたところでございます。 13 ◯議長(藤田 茂令君) 後藤元秀君。 14 ◯六十二番(後藤 元秀君)登壇 答弁をいただきましたが、まず知事にお尋ねいたします。前回の質問のときに知事は、極めて重要な、深刻な問題であり、緊急性にかんがみてと答えていらっしゃいますが、その結果この四年ほどの間にわずか四回しか協議会を開かずに、そして何の結論も出てないような、具体的なものがないとお答えになってらっしゃいます。これは、質問に立ってそういう答えをもらっても我々は、この議場で検討するという答弁をもらっても、どこまで信用していいのか、こんなことでは私たちはここに立って質問ができなくなりますが、その辺について御所見をお答えいただきたい。言葉というのは大事だと思いますので、その辺をきちっと私たちが納得できるようにしていただきたい。  井上部長には、私は、響灘におんぶにだっこという表現をしましたが、まさに研究会、協議会での結論は、一つは、北九州市さんにおんぶにだっこしてもらうという結論をこの四年間で取りつけてそれを実施しているということのようです。こんなことじゃいかぬのじゃないかと私は言っておるんです。特に、シュレッダーダストについて、生のままで野積みされているというのは、全国でもここしかないんですよ。こんな危ないものが山積みされて、放置された状態で二次公害、二次被害も実はもう出てます。そういうときに、なお北九州市さんにおんぶにだっこ。つまりどうしてこんなことになるのかというと、さっきの質問に答えてないところがあるんですが、民間ではコストの面も含めて対応し切れない。県としてそういうときにどうするのかという質問をさっきしたんですが、答えてらっしゃらない。そこに帰結していきます。北九州市は今のところ、トン当たり六千円でシュレッダーダストを引き受けています。でも全国的に見ますと、安くても一万五千円です、処理代は。平均で二万五千円から三万円です。なぜこんな六千円で引き受けてやっていけるのか。後の処置をしてないからです。後の処置をしてなかったらどんなことになるか。つい最近、またニュースに出てましたあの豊島みたいになるんじゃないですか、豊島みたいに。瀬戸内海のあの島の、不法投棄されたあの厄介なものが二次被害、土壌汚染や水質汚濁、大気汚染をしている。それを処理する費用はどれだけかかってますか。何倍もかかってます。そんなことが響灘で起こるかもしれない。これは起こり得る可能性が非常に高い。実は、ある業者さんたち何人かに聞きましたら、多分響灘もシュレッダーダストを生のままでは引き取ってはもらえなくなるでしょう、そう言ってます。実際にあそこの響灘開発(HKK)さんは既に断ってますし、旭硝子さんもお断りになっています。跡地の利用ができないからです。市が辛うじて引き受けてらっしゃるだけです。でも、これも跡地の利用ができないことがわかると、あそこは港湾に使うんでしょうから、港湾の利用ができないとなるとどこに捨てるんですか。あなたは、きのう七年間もつといったその大半はそこじゃないですか。七年もつ予測はそこで根拠なくなりますよ。本当に緊急なんじゃないですか。危機感あるんですかね。しっかりとした考えを、もう一度井上部長にお答えいただきたい。(拍手) 15 ◯議長(藤田 茂令君) 麻生知事。 16 ◯知事(麻生 渡君)登壇 廃自動車対策について、前回の答弁で言ったにもかかわらず、具体的な成果があらわれてないではないかという点でございます。先ほど御答弁申し上げましたように、研究会を設けまして関係業界を入れた形で課題の整理、そしてその取り組むべき方向について議論を積み重ねてきておるわけでございます。実行という点には至っておりませんけれども、ただ設計、技術の開発あるいはリサイクル、中古部品の市場開拓あるいは事前の選別によりますリサイクル率の向上、解体方法の開発というような課題につきまして、共通の取り組むべき認識、これが図られてきております。その意味では、産官での共通の認識、方向、行動のあり方というものについての進展がなされているわけでございます。ただ、いずれにしましてもダストの問題は、コストの問題に常にぶつかっているわけでございます。したがいまして、そのような点も含めまして、視野を広げながら研究を続けてまいりたいと考えている次第でございます。 17 ◯議長(藤田 茂令君) 井上環境部長。 18 ◯環境部長(井上 研一郎君)登壇 お答えします。  先ほど御質問の中でいろいろ御指摘がありましたように、非常にやはりシュレッダーダストの現状の処分は問題があるというふうに私も認識をしております。先ほど、公共関与のところで知事の方から御答弁申し上げたんですが、ただいま検討委員会の中でですね、シュレッダーダストを含む処理困難物の対応についてもいろいろ御意見を伺うということにしておるわけでございます。 19 ◯議長(藤田 茂令君) この際、しばらく休憩いたします。再開は午後一時二十分といたします。           午 後  零 時  十三分  休 憩           午 後  一 時 二十一分  再 開 20 ◯副議長(豊沢 一男君) 再開いたします。  休憩前に引き続き一般質問を行います。順次発言を許可いたします。清田信治君。(拍手) *清田議員質問 21 ◯六番(清田 信治君)登壇 県政クラブの清田信治です。今、サミットを直前に控え、福岡県が「サミットも一般治安も」を合い言葉に万全の安全、安心体制に取り組まれていることに心から敬意を表します。「サミットも一般治安も」の意味は、要人も県民も人権、命は同じであることを意味します。今、人の命の警護に最も敏感なのが、ここ福岡県です。その意味で、社会的に、家庭的に、弱者の立場にある人の命、人権について、この時期だからこそ考えることは大いに重要なことです。突き詰めれば、人の命を守る、人の命を救うのが行政であると言えます。その意味を込め、通告に従い、人権尊重の社会実現に向け質問をさせていただきます。  最初に、ホームレス対策についてです。  六月九日、大阪の太田知事は、大阪ミナミを視察の後に、浮浪者と外国人が治安に問題であるという発言をし物議を醸したところです。この排除の論理と同じようなことが、サミットを前にしてここ福岡でも起きているのではないかと心配しています。一部報道によりますと、サミット訪問地の大濠公園に生活している四十人ほどのホームレスに対し、同公園を管理する福岡県公園街路課は、外国からお客さんが来るので、少しの間いなくなってほしいと発言したとのことです。そのため二十人ほどのホームレスが退去したとあります。これが事実とすれば、この一連の行政の発言は、まさにホームレス排除の論理であり、しかも社会構造の根本的解決とは全く無縁であり、人権無視の発言、行動と言わざるを得ません。百歩譲って、退去要請は定期的に行っているとの発言を認めても、ホームレスへの支援策並びに生活の保障とはなっていない、その場しのぎの行政指導には変わりありません。その行政の実態は、新宿区で他の自治体よりも手厚い保護を充実させると他の自治体からホームレスが流入するとの報告がなされ、現実にカップめんの支給をやめたところ、川崎へホームレスが二百人移動したとのことです。小さい自治体では対応策がとれないため、横浜へ行くよう片道の旅費を渡す自治体、また名古屋市ではテント等の撤去を行ったが、百メートル先に移動するだけで解決にならないとの報告が上がっています。さらに、ホームレスを襲撃する理由なき犯罪は深刻です。ホームレスの厳しい野宿生活をさらに厳しくしているのがその偏見と差別であり、ホームレスは町のごみ、迷惑な存在という意識がホームレス排斥につながり、襲撃にあらわれています。ホームレス襲撃の七割が青少年です。家庭や地域社会の持つホームレス排斥の風潮が影響していると考えられます。福岡県も例外ではありません。全国二万人のホームレスの問題、これは全国の問題、国民の問題です。そこでホームレスの人権確保と青少年の犯罪防止の視点も加え、以下数点にわたって質問いたします。  最初に、ホームレス対策について知事に質問いたします。国、政令市等の代表で組織するホームレス問題連絡会議が一九九九年二月に発足しました。その前年に、この本議会での指摘を受け、一九九九年に全国指定都市及び中核都市の実態調査が実施されましたが、福岡のホームレスの実態調査の中身を明らかにしてください。  また、知事は二年前の二月議会で、ホームレスは「いわば大都市に関連する」との答弁でしたが、今もふえ続けるホームレス、その結果として大都市に集中するホームレスの現状から、今もホームレスは大都市に関連する問題との認識なのか、そのお考えをお聞かせください。  次に、昨年五月二十五日、このホームレス問題連絡会議が出したホームレス問題に対する当面の対応策を受けての行政施策についてお尋ねします。ホームレスの支援と保護を打ち出しているこの対応策を受けて、県としてどのように取り組むのか、労働局長並びに保健福祉部長にお尋ねします。  一点目は、労働意欲はあるが仕事がなく、失業状態にある者への就労による自立支援の対策についてお聞かせください。  二点目は、医療、福祉等の必要な者に対する支援についてです。アルコール依存症の者、精神的、身体的疾患を有する者、高齢者、身体的障害者等の福祉等の援護による自立支援の対策についてお聞かせください。  三点目は、関係部長に対する要望とします。これらの対策を進めるに当たって、今後、庁内に設置されている横断的なホームレスに関する協議会での定期的かつ活発な論議を受け、社会福祉法人や民間ボランティア団体等の協力を得るための連携、協力が不可欠となります。さらには、青少年犯罪防止を含めた地域住民の理解と協力を得るための方策について、今後早急な対策を打ち出すことを強く望みます。ホームレス対策がサミット期間中の一過性の行政施策にならないよう誠意ある答弁を期待し、次の質問に移ります。  次に、ドメスティック・バイオレンス、いわゆる夫婦間、パートナーからの家庭内暴力の防止、撲滅について質問します。日本の家庭内で起こっている夫婦間の暴力は犯罪と見られず、常に日常茶飯事の夫婦げんかととられ、助けを求める声もむなしく、だれも振り向いてくれないのが現状です。昨年、総理府が行った男女間における暴力に関する調査でも、暴力を受けた者の四%しか公的機関に相談していないことが第一の問題として浮き彫りにされています。その原因は、家庭のことは恥ずかしい、自分さえ我慢すればという意識、相談窓口が広く認識されていないこと、民事不介入など従来の行政の姿勢等が挙げられます。しかも問題として表に出るのは、最後にどちらか致命的な傷を負うか命を落とすときぐらいで、そのときもニュースでは事件の背景にある原因を報道するのではなく、ゴシップ的に大げさに取り上げられるのみで、時がたてば一過性の事件として忘れられがちです。しかし、我が国のドメスティック・バイオレンスの実態は、今や社会問題との認識が必要な時期に来ています。殺人事件の女性被害者の三割は、夫あるいは内縁の夫が犯人です。さらに夫が暴力で妻を殺害する件数、年間百二十件、傷害罪、暴行罪に当たる暴力を夫、恋人から一度は受けたことのある女性百人に三人、この数は、今、社会問題となっている不登校、登校拒否の数の実に三倍です。しかも、総理府が二〇〇〇年二月に発表した男女間における暴力に関する調査では、結婚経験のある女性の実に五%が「命に危険を感じるほどの暴力を受けたことがある」との報告です。  なお、暴力を振るう男性は学歴、収入に関係なく、その加害者の男性の職業として、会社員、専門職、作業職、販売職、管理職などが主な職業として挙げられ、公務員、医師、自衛隊員、教職員、銀行員、住職、そして私たち議員が次に列挙されています。  ドメスティック・バイオレンスの与える影響について、多くはその被害者である女性について語られますが、忘れてならないのは、家で両親の暴力を見て育つ子供の存在です。その子供たちは大人たちに隠された陰の被害者です。また両親の暴力を見て育つ子供は、大人になってドメスティック・バイオレンスをする報告が数多くなされています。この悪循環を断ち切る必要があります。今、日本社会は確かに先進国です。それは日本がサミット開催国であることからも明らかです。しかし、ドメスティック・バイオレンスの実態からは、社会構造の発展途上国との指摘をせざるを得ません。日本も参加した二十一世紀に向けた男女平等の方策を検討していた国連特別総会女性二〇〇〇年会議が六月十日閉幕しました。女性に対する暴力が世界共通の問題であることが浮き彫りになり、このドメスティック・バイオレンス防止のための法律整備を盛り込んだ成果文書を採択したのがこの会議で、しかも日本の立ちおくれが明らかになりました。そこで、ドメスティック・バイオレンスの実態と、この犯罪を生み出し助長する社会構造の改革という視点に立ち、知事に質問いたします。  まず一点目は、サミットを直前に控え、「サミットも一般治安も」を合い言葉にする福岡県にとって、ドメスティック・バイオレンスの実態をどのように把握してあるのか、そして今後、行政施策の重要課題として取り上げていく考えがあるのかを、ドメスティック・バイオレンスも犯罪であるという認識の上に立ち、知事の御所見を伺います。  二点目は、法律は家庭に入れないのかという質問です。さきの十二月議会で児童虐待防止について質問しましたが、その後、国会で児童虐待防止の法律が可決されました。同様に、ドメスティック・バイオレンスに対して、福岡県が先進的に条例制定に取り組むくらいのお考えがあるのかどうかお尋ねします。  以上、「サミットも一般治安も」、その言葉から引き出される数多くの人権問題から二点に絞っての質問に対して、誠意ある知事の御回答をよろしくお願いし、一回目の質問を終わります。よろしくお願いいたします。(拍手) 22 ◯副議長(豊沢 一男君) 麻生知事。 *知事答弁 23 ◯知事(麻生 渡君)登壇 本県のホームレスの人数の点についてでございます。本県のいわゆるホームレスの人たちの数でございますが、平成十一年十二月に厚生省が公表いたしました全国のホームレス概数調査の結果によりますと、福岡市二百六十九人、北九州市百六十六人、久留米市三十人となっております。  このホームレスの問題は大都市に関連する問題というふうに認識をしているかという御質問でございます。ホームレスとなります要因でございますけれども、失業、家庭崩壊、社会生活への不適応といったさまざまなものが考えられます。また、ホームレスが大都市に集まります傾向の原因といたしましては、雇用機会、あるいは居住しやすい場所が多いといったことなどが考えられるわけであります。さきの全国のホームレス概数調査結果を見ましても、ホームレスの方の人数は東京都、そしてまた政令指定都市が全国の九割以上を占めておるという状況でございます。本県におきましても、先ほど御紹介しましたように、大都市に集中しているわけでございます。このようなことでございまして、ホームレス問題は全国に共通いたしました、いわば大都市に関連する問題であるというふうに認識をいたしております。  次に、ドメスティック・バイオレンス───なかなかこれ、いい日本語がないようでございますが───の実態及び条例の問題についてでございます。昨年、県の男女共同参画社会に向けました意識調査を実施したわけでございます。その結果によりますと、身近に暴力を受けた当事者がいるという回答が九・六%ございました。また、平成十一年度の女性相談所、福祉事務所におきます相談件数から見ました場合に、こういう件数は全体として五千件あるわけでございますが、一二・七%が夫からの暴力といった暴力に関する相談であったわけであります。  このような実態でございまして、いわゆるドメスティック・バイオレンスという暴力につきましては、女性の人権を守るあるいは家族全体にとりまして重要な問題でございます。現在、男女共同参画社会づくりに関する条例あるいは新しい基本計画の準備作業を進めておるわけでございますが、その中で、このドメスティック・バイオレンスにつきましても検討してまいりたいと思います。 24 ◯副議長(豊沢 一男君) 隈本保健福祉部長。 *保健福祉部長答弁 25 ◯保健福祉部長(隈本 英臣君)登壇 ホームレスの方々に対する自立支援対策についてでございます。ホームレス問題に対する対応策といたしましては、ホームレスみずからの意思で自立した生活ができるように支援することを基本といたしまして、同時に高齢や障害、健康上などの理由によりまして、自立能力に乏しい方々に対しましては、適切な援護を行うことが必要であると考えております。したがいまして、医療、福祉等の援護が必要な方々に対しましては、福祉事務所や保健所などによる各種相談を初め、生活保護の適用、健康相談、診査、社会福祉施設への入所、病院への入院の措置などのさまざまな対応が考えられますので、関係市町村と協議をしてまいりたいと考えております。 26 ◯副議長(豊沢 一男君) 山越労働局長。 *労働局長答弁 27 ◯労働局長(山越 敬一君)登壇 ホームレス対策に関しまして、就労による技術支援の対策についてでございます。ホームレスの方の中で、仕事をする意欲はあるが就労機会がなく仕事についておられない方につきましては、本人の求めに応じまして、公共職業安定所におきまして職業相談あるいは職業紹介を実施いたしまして就職の促進を図ることになります。また、仕事につくために技術を習得することが必要である場合には、公共職業安定所とも連携をいたしまして、職業訓練を実施してまいる考えでございます。しかしながら、このような方が実際に就職をされるためには生活面の課題を解決することが前提となる場合が多いと考えられますので、関係する市町村ともそのために必要な協議をしてまいります。 28 ◯副議長(豊沢 一男君) 清田信治君。 29 ◯六番(清田 信治君)登壇 誠意ある回答をありがとうございました。  まずホームレスに関しては、民間ボランティアに頼っているのが現状です。冬を越せないホームレス、凍死者等数多く報告されています。これは「越冬隊」や「おにぎりの会」という炊き出しを中心とした民間の慈善のボランティアによってホームレスが地域住民として地域から守り育てられているのが現状です。今後、民間ボランティアへの行政の温かい指導も期待したいと思います。  それからドメスティック・バイオレンスについては、議会で初めて質問ということでしたが、午前中の環境条例に関しては、必要な条例は早急に制定するというその機運を受けて、今回のドメスティック・バイオレンスに関しては、二〇〇一年の早い時期に男女共同参画社会の県の条例が制定され、その中にドメスティック・バイオレンスについても前向きに検討する、織り込むという返事、本当にありがとうございました。  実際にドメスティック・バイオレンスは、私たちすべての男性の女性への課題でもあり、すべての子供たちへの課題だと思っています。くしくも本日、マスコミはこのことに関して一斉に報道しています。昨年、日本人の離婚二十五万組、過去最高二分間に一組の割合で離婚との報道がされています。その原因が、新たにドメスティック・バイオレンスにあるという報告がなされています。条例は来年の早い時期にできますが、セクシュアルハラスメントやドメスティック・バイオレンスは待ったなしで私たちにかかってきます。そこで、行政は条例制定以前にも必要な時期に行政の指導、また住民を守る立場でドメスティック・バイオレンス防止、撲滅に強く御指導されることを心から期待しながら、二回目は要望とさせていただきます。  御清聴ありがとうございました。(拍手) 30 ◯副議長(豊沢 一男君) 堀宏行君。(拍手) *堀議員質問 31 ◯二番(堀 宏行君)登壇 公明党・新風の堀宏行でございます。皆様、さきの総選挙、本当に大変お疲れさまでした。二十世紀最後の総選挙ということもあり、各党大変熱が入り、大変な激戦でありました。結果につきましては、それぞれいろいろな御感想と論評がありましょうが、何はともあれ二十一世紀の日本の社会が一層よりよい社会になることを心から念願するとともに、私も政治家の一人として頑張っていかなくてはならないと気持ちを新たにしておるところでございます。  さて、通告に従いまして質問いたします。行政評価システムに関する質問は、我が会派でも幾たびか取り上げ、私も前回の一般質問で質問いたしました。先日、六月二十二日に行政評価システムに関する研究会から報告書が提出されました。同研究会は、平成十一年十二月二十日に設置され、過去七回にわたる議論を経て現在に至りました。まずはこの報告書の作成に携わった関係者の方に敬意を申し上げます。  まず最初に質問いたします。知事はこの行政評価システムに関する研究会の報告書をどのように評価しておりますか、お聞かせください。  次に、私なりにこの報告書を読み、疑問に感じた点、気づいた点を率直に知事に質問いたします。  第一点に、この行政評価システムと今までの既存のシステムの整合性をどのように保つのでしょうか。同じような仕組みが幾つも存在すれば、職員の仕事が煩雑になり、事務作業が膨大になるおそれがあり、かえって評価のために効率性が失われることになりかねません。報告書によれば、ある意味で事務事業の評価といわれるものに、財政改革事業再点検(サマーレビュー)、重点施策制度、予算編成、目的による行政運営、組織・定数管理などが存在しております。重点施策の仕組みは発展的に改革する、評価結果を予算編成、組織定数管理に反映させるとなっております。重点施策は具体的にどのように発展的に改革をするのか、どのように予算編成、組織定数管理に反映させるのでしょうか。また、他の仕組みはどのようになるのでしょうか。  次に、評価の方法と主体に関して質問いたします。第一義的には、事務事業を所管する各部各課がみずから行い評価案を作成する。そして次に、各部各課の評価案やこれに対する評価担当組織───これは行政評価会議の事務局ということですが、ここの検討を踏まえて行政評価会議が総合的な評価を行うとなっております。各部各課の評価案が全くうのみにされてしまうようでは、この行政評価会議は、全く屋上屋になってしまいます。これを避けるためには、私が前回に一般質問で指摘しましたように、評価案が定量的な評価で客観的にわかりやすいものであることが必要不可欠であります。報告書におきましても、「できるだけ定量的な手法を取り入れるようにされたい。」と記述をされており、この点は非常に大事なことだと考えております。  また、行政評価会議の組織のあり方も非常に重要になってきます。報告書によると、行政評価会議は、「県の政策運営について高度な判断ができる行政の内部組織」となっておりますが、具体的にはどのような組織構成になるのでしょうか。  第三点目に、制度の導入時期について質問いたします。報告書によりますと、「行政評価システムは確立されたものではない。したがってより良いものとするためにはある程度の試行錯誤はやむを得ないものと考えられる。」とあり、「本格実施の前に十分に試行をすることが必要」だとなっております。ちなみにことしの四月十八日に、福岡市経営管理委員会から提出された「市長への提言‥「行政経営」の確立を目指して」の中におきましては、DNA二〇〇二計画の実行スケジュールというぐあいに、準備期間と本格導入時期が項目別に明記されております。四月に地方分権一括法が施行され、二十一世紀の行政の経営のあり方に多くの県民が関心を持っている現在、早急に行政評価のシステムを導入すべきと考えます。知事は、試行期間をいつまでとし、何年度から正式に実施する考えであるかお答えください。  第四点目に、職員の意識改革について質問いたします。報告書にも触れられておりますように、「制度の導入に当たっては、それを動かす職員の意識そのものが変わっていくことが大切」であると書かれてあります。行政評価システムは、従来の行政手法に経営的な手法を取り入れるものであるので、今までとは違った発想と取り組みが求められます。せっかく行政評価システムという立派な制度ができても、職員の意識が従来のままであれば全く絵にかいたもちになってしまいます。知事はこの職員の意識改革を具体的にどのように図っていくのでしょうか、お答えください。  第五に、報告書によれば、行政評価システムの対象は県の事務事業に限定しているようであります。また知事は、さきの我が会派の代表質問の答弁においても、行政評価システムについて、ふくおか新世紀計画や第一次実施計画で明示している政策や施策目的を前提に、県の事務事業の効果、効率性について評価を行うものであるとの答弁を行っております。県の外郭団体においても経営の効率化が求められている事情は全く県本体と同じであると考えます。将来的に、この行政評価システムを県の外郭団体の事業まで含めるべきではないかと私は考えますが、知事はいかがお考えでしょうか。  最後に評価結果の公表についてお伺いいたします。報告書によれば、「行政評価会議の評価の結果を年次レポートとして年度終了後に取りまとめて公表するように努められたい。」となっております。行政評価システムを先駆けて取り入れている三重県、北海道、静岡県では既にインターネット上で個別の評価表を全面的に公開しております。IT革命という言葉が日常茶飯事に使われ、七月の九州・沖縄サミットでもIT革命について議論がされるような御時世でございます。私はこの評価結果をぜひインターネット上で公表すべきであると考えますが、知事はいかがお考えでしょうか。  以上をもちまして、私の一回目の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) 32 ◯副議長(豊沢 一男君) 麻生知事。 *知事答弁 33 ◯知事(麻生 渡君)登壇 行政評価システムについてでございます。評価システムにつきましては、報告書が提出されたわけでございますが、研究会から今回出されました評価システムにつきましては、行政の総合性の確保あるいは行政の成果を重視するということへの転換を図る上で非常に重要なものでございます。具体的にこの報告書で示されております行政評価システムでございますけれども、事務事業を分野ごとに群に分けて評価をしていく。そしてまた具体的な事務あるいは事業につきましては、事前あるいは事後の評価というように、事業の進展の各段階において評価を行っていく。そしてまた評価の結果を公表するのであるというような、非常に広範囲なものになっているわけでございます。そのようなことでございまして、全国的に見ましても、相当先進的な内容になっているというふうに評価をいたしております。そしてこのような報告提言は、今後の私どもの行政に対します県民の皆さんの信頼性の向上を図っていく上で貴重なものであるというふうに考えているわけであります。  次に、これを具体的に実施をしていく場合の、これまで県庁内で行っておりましたいろんな制度、特に重点施策制度とかサマーレビューとか、いわば行政評価を行っておったわけでございますが、そういうものとの関係をどうするのかという点でございます。これはまさに今後この報告に基づきました行政評価システムを具体化していく場合の大きな問題なり調整事項でございます。これまでの重点施策、サマーレビュー、あるいは組織・定数管理というようなものがあるわけでございます。最終的にはこれが予算編成のいろんな議論ということが行われております。そのようなものと、この評価システムの調整あるいは具体的な設計、これを検討して決めていかなければいけないわけでございます。その際に、資料の作成あるいは共通する事務、こういうことをしっかり調整、整理をする必要があろうと思います。そうしなければ結局、評価システムというのは資料の山というようなことになりかねないというような点があるわけでございます。そして、職員のこういう意味での過重な負担とならないように配慮をしなければいけないと考えております。  また、御質問がございました行政評価会議のメンバーでございますが、評価の客観性が確保できますような内容となりますように検討してまいる考えでございます。
     また、導入のタイミングなり今後の定着の問題でございます。今回の報告に示された評価システムでございますが、これは行政のあり方を大きく変える可能性、あるいは変えなきゃいかぬという点を持った新しい方式でございます。ただ、強化手法ということにつきましては、まだいろんな知見を蓄積しなければいけない面もあるのが率直な現状でございます。このために職員の意識の変革を進めながら、ある程度時間をかけてよく試行をしなければ効果的に進められないんじゃないかと思っているわけでございまして、その意味で段階的な定着ということも大事であるというふうに思っているわけでございます。本格的な実施ということにつきましては、このような試行の状況を踏まえながら検討してまいりたいと思っております。  職員の意識改革の点につきましては、行政評価の導入に当たりまして、当然職員にいろんな説明をしなければいけませんし、また行政評価そのものの意義あるいは実施方法につきましての周知徹底を図っていく考えでございます。また評価を実践をしていくということを通じて、評価の成果あるいは効率というものにつきましての職員の意識を高めていくということを図ってまいりたいと考えております。  評価結果の公表でございますけれども、インターネットの活用も含めまして県民にわかりやすい形で行いたいと思っているわけでございます。こういうことを通じまして、行政への信頼を高めることにつながっていく内容、あるいは方法を検討してまいる考えでございます。  対象範囲についてでございますが、今回の行政評価システムは、まず県庁において導入することを目指してまいります。外郭団体の導入につきましては、県庁でのこれからの運用状況を踏まえまして、あるいは踏まえました上で、それぞれの団体の事務の性格、実情を勘案して今後、検討してまいる考えでございます。 34 ◯副議長(豊沢 一男君) 堀宏行君。 35 ◯二番(堀 宏行君)登壇 どうも御答弁ありがとうございました。一点だけ要望させていただきます。  この報告書をずっと読んでおりまして、非常に気になる記述が一カ所だけありました。評価の手法についての欄の中で、「行政の特殊性から定量的評価がなじまないものが多いので」というくだりがございました。しかし、今の時代そしてこれからの時代の行政に、この行政の特殊性という言葉を大上段に掲げることが本当にふさわしいのかなと、私は思っております。先ほど触れました福岡市の経営管理委員会が市長に提出した提言の中で、次のようなくだりがあります。市民や市の幹部、現場の職員にインタビューやアンケートを行ったら、一様に今のやり方はおかしいと思っているという結果が返ってきたということです。昔、行政は権力的作用が中心でありましたから、行政の特殊性という言葉があったでしょうけれども、やはり今、給付、サービス、これがやっぱり中心でありますし、これから財政が非常に厳しい中でこれをやっていかなくてはならないと私は思います。本当にいかに質の高いサービスを安いコストで提供していくかということがこれからの課題であると思います。ぜひこの行政評価システムを導入する際には、行政の特殊性という言葉に余りとらわれ過ぎずに、評価手法を限りなく積極的に定量的なものにしていただきたいということを強く要望いたしまして、私の質問を終わります。  どうも御清聴ありがとうございました。(拍手) 36 ◯副議長(豊沢 一男君) 縣善彦君。(拍手) *縣議員質問 37 ◯十八番(縣 善彦君)登壇 自由民主党の縣善彦でございます。早速、質問に入らせていただきます。  二十六日から始まりました代表質問、一般質問の中で、教育問題は今日の世相を反映してかその中心を占めてまいりましたが、私もまたその教育問題、しかも私流に言わせていただきますならば、その根幹の部分について、教育長そして特に本日は知事にもその見解をお聞きしたいと思っております。  教育を考えますとき、昔は二宮尊徳のようになりたいというような目標とする人間像がありました。その意味で、福岡県の代表者である麻生知事が人格、識見ともにすぐれた尊敬に値する人物であるということに安心感を持っている者の一人でございます。  現在、文部省を中心に国を挙げて教育改革が進められています。例えば、学校週五日制の実施、生涯学習社会の建設、教育における地方分権の推進、新しい教育課程の実施などであります。また、本県においても、さきに県立高校の第一次再編整備計画の骨子が明らかにされました。それによりますと、百十一校の県下の全県立高校のうち当面三十校程度の高校を対象にして再編整備を進め、今日的な課題に十分こたえられるような九十八校程度の高校に絞り込むことが明らかにされています。県教委は、今日までの検討作業においても恐らく相当な苦労をされ、今後についてはなお一層の困難が予想されるだけに、その努力にはまずもって敬意を表したいと思っています。しかしながら、私の率直な感想を述べさせていただきますと、文部省、県教委の一生懸命な努力にもかかわらず、何かが忘れ去られているのではないか、こうした改革、取り組みだけでは今日のあらゆる教育問題の真の解決には結びつかないのではないか、こんな気がしてならないのであります。これは一言で申しますと、現在、進められている改革、取り組みが、いずれも現行法制度の枠組みの中のものであり、教育の根本認識に立ち返っていないのではないか。言葉をかえて申しますと、日本人の心の問題、心の教育が忘れ去られているためであります。多数の優秀な青年が狂信的な団体に走り、良心の呵責を忘れて重大な犯罪を犯す、また神戸の小学生殺人事件以来、堰を切ったように頻発する凶悪な少年犯罪、あるいは小学校でさえ、教師の統率が行き届かず、授業が成り立たない学級崩壊や学校崩壊などの本当に嘆かわしい事件や事例を見聞きするたびに、私は今日までの我が国の教育や家庭での子育てが、どこか根本のところで間違ってきて大切な部分が欠落しているのではないか、そんな思いを強くしてまいりました。もし、このまま根本的なところで対応を誤り、それを怠るならば、我が国の将来はどうなるのでしょうか、子供たちに明るい未来はないと危惧するのは私一人ではないと思います。  振り返ってみますと、我が国は国土も狭く資源も少ない。しかしながら、我が国は四季折々の豊かな自然に恵まれ、これに調和した生活の中で、家族を愛し、国を愛しながら世界に冠たる精神文化を育ててきました。私の偏見かもしれませんが「源氏物語」は世界最高の文学作品だと思っていますし、「古事記」や「日本書紀」は日本民族が世界に誇り得る国家神話だと思っていますが、これも豊かな自然と心優しい民族によって培われてきた、まさに民族や国家のアイデンティティーだと言っても差し支えないと思っています。また、我が国にとって唯一の資源は押しなべて優秀な人材でありました。すなわち仕事や勉強にいそしむ勤勉性であり、これがあったためあの戦後の荒廃期を世界が驚くような猛スピードで乗り越えて、あっという間に立ち直り今日の経済的反映を築いてきたのでありますが、これはすべてすぐれた教育のたまものでありました。しかし、このままではそうしたよき伝統がいつまで続くのか、甚だ心もとない限りであります。今こそ教育の根本に立ち返って、その再構築を図るべきであります。教育の根本とは何でありましょうか。それは教育の目的と現状認識に尽きると考えます。特に権利と義務、自由と責任、公と私の関係はいかにあるべきか、そしてそのあるべき姿に対し、教育の現状はどうなのか、何が欠けているのかという点について、国民の共通認識を図るべきだと思っています。  今、このような教育の根幹にかかわる問題において国民の間に認識の揺らぎがある。もっと突き詰めて言えば、教育界の中に認識のずれがある、このことが今日の混迷をもたらしている、私はこう確信しているところです。今回の本会議の議論を見ても、それぞれの考え方により全く異なった意見が出ているように思われます。原因のとらえ方、解決の方法について、教育現場をどうしようとしているのかなどについて、意見が違うことがよくわかりました。自由ですが、責任を持って実行する考えの人々と、責任を放棄し、権利を強く主張し求め続ける考え方の人々と、その考え方の違いが教育現場を混乱に陥れ、学校指導者の自信を失わせているのです。教育は、不平不満を教えるものではなく、あるべき人間の姿を教えるものと思いますがいかがでしょうか。混乱して自信のない教師の姿を見て、子供たちの心が離れていくという結果を招いているのではないかと思われます。大人の思想闘争の混乱が現在の学校現場の混乱を招いているのです。  教育改革について、家庭、学校、地域社会の協力が必要と言われて、さまざまな考え方が示されております。家庭教育においてはしつけがなされていない、親子のコミュニケーションが少なくなって、子供の心が落ちつかない。学校教育においては、教師が聖職から教育労働者になったことにより、生徒のことよりも教師の労働条件を強く主張するようになり、子供の心が教師から離れてしまったことなど。社会におきましては、他人の子供をしかるような善意の風潮が欠けてきたり、就職においても学力偏重になり過ぎて受験戦争を招いてきたことなど、教育についてはここが問題の本質というように原因を一つに限定することが困難であり、したがって解決策もまちまちです。  ここでは社会の受け入れ態勢や家庭教育のことは一たん置いて、学校教育について申し上げたいと思います。学校教育において何を教育するのか、人間は知、情、意の存在と言われていますが、まず家庭において愛情に裏づけされた心の教育を。学校においては、社会秩序を守る規範教育を。大学や社会に出て、専門知識、技術教育を受け、バランスのとれた個性的な人間形成をするものと思います。その中で、知識の教育は進んだけれど、心の教育が失われたために、その土台の上に築かれるべき規範教育も崩壊し、学級崩壊している。だから、学校の先生は、家庭のしつけが悪いので学級崩壊してもいたし方ない、学校の責任ではなく家庭の責任ではないかと言っております。学校に家庭教育の責任を持ち込まれても困るというようなことで、責任転嫁されてきたのが最近までの風潮だったように思います。ここに来て、社会全体の問題として教育を考えなければいけないという動きがあらわれているものと思います。今がチャンス、大きく踏み出すときが来ていると思います。教育界の皆様の奮起をお願いしたいと思うわけです。  そこで、心の教育ということが教育の土台としてあることが共通の認識となり、教育基本法の検討においても取り上げられつつあるのではないかと思います。そこで、心の教育とはどのようにしたらその成果を得ることができるのでしょうか。心が成長することの過程をたどってみると、まず自分が目標を定める、それに向けて努力する、汗を流す、実現する、それでよいのだと自信を得る、その結果心が成長していく。また、ある場合には失敗する、失敗の原因を探る、自分の未熟を知る、反省する、再度挑戦する、また失敗する、目標の定め方がよかったか再検討する、また努力する、こういうことを繰り返しながら心が育ってくるものと思います。自分の意思で行動し、結果についても自分が責任を持つ、その練習をするのが未成年の期間であります。その時代に自分で責任をとることを教えなければならないのに、無責任な自分の権利ばかりを要求し、子供の面倒を見ない教師の姿を見て、責任のある子供が育つでしょうか。教師が子供たちに責任を持つ決意があれば学級崩壊は生まれないと思うのですが、いかがでしょうか。  ある考え方の人々のことを、この場では自己中心と責任転嫁の考え方の人々と呼ばせていただきますが、その方々は十七歳の犯罪の原因は詰め込み教育が悪い、学習指導要領が悪いという主張になります。文部省が難しい教科書を押しつけるので学校の勉強がわからない、小学校からわかる喜び、学ぶ楽しさが奪われているということになります。ちょっと違うのではないでしょうか。学校生活を評価されるのは、子供にとってストレスになり、いらいら、むかつくなどの気持ちを引き起こし、抑圧された学校教育になると言われます。本当にそこが原因なのかと首をかしげたくなります。そういうことのすべてを否定するつもりはありませんが、問題の本質は別にあり、教師と子供の間の心理的原因であったり、信頼関係が失われているところにあるのではないかと思われます。子供にとってわかりやすい授業をするための努力や、ストレスとなっている原因を聞いてみるなど、そういう努力こそ先生にとって大切なのではありませんか。教師は商品を生産する労働者ではありません。人間を教育する、極めて精神的労働を多く求められるとうとい職業でございます。ここの基本を失っては、どんな議論をし、改革案を出しても全く意味がありません。人間形成の大切な小学、中学生の時代に人間の基本を失った教師から学ばなければならないのは、子供にとって不幸なことです。教育基本法を改め、文化、伝統を尊重し、道徳心を高めと言っても、教師にその気持ちがなければ効果を期待することができません。心の教育を考えるのであれば、教育委員会や校長、教職員の皆様の間で、人生観と人生観のぶつかり合いが必要です。事なかれ主義では進みません。自分の心の中の自己中心主義と闘う、外の自己中心主義と闘う、こういう中から教師の心が育つのではありませんか。教師の心が育ち、子供の心が育つ、この努力なしに健全な教育の回復も強い地域社会も生まれません。余り言い過ぎると、自分の首を絞めることになりますので、このぐらいでとどめさせていただきます。いいかげんな自分にしてはちょっと言い過ぎたかもしれませんが、心の中に幾分かでもこんな気持ちを持ちながらやってもらいたいという県民の声を代弁して質問をさせていただきました。教育委員会がこの心構えを持って進む意思があるのかどうか、教育長に質問いたします。  さて、国においては、去る三月二十七日、我が党の故小渕恵三首相の肝いりで教育改革国民会議が発足いたしました。ここでは教育の根幹を定めた教育基本法にさかのぼり、あるべき姿が自由に議論されると聞いております。また福岡県においても、我が自民党の提唱に応じて、青少年アンビシャス運動が発足いたしました。いずれも今日の教育の混迷に対する危機感と打開に向けた強い決意が感じられ、自分の考えと深く共鳴するものがあります。この上は現行法制度の枠組みにとらわれない自由な発想のもとに、精力的な論議を期待するところであります。しかしながら、自由な論議をするとは言っても、そこには責任者がどのような基本認識を持っているのか、つまり議論の軸足というものがなければ議論が拡散するばかりで、いつまでたっても建設的なまとまった方向性は見出せないと思います。特に教育の問題は百家争鳴で意見の一致が極めて見出しにくい分野であります。  そこで青少年アンビシャス運動の実践者である知事に、この運動のバックボーンを明らかにする意味からも、青少年教育の究極の目的とは何か、そして今の青少年教育に欠けているものは何なのか、とりわけ道徳律、民族愛、国家愛について、その観点が乏しいとされている我が国教育の基本法律、つまり教育基本法については、憲法論議とともに国民的な立場から論議し改正が必要ではないか、このように考えるわけであります。そこで政治家であり、県政の最終責任者である知事の明確な見識を県民の前に示していただきたくお願いをいたします。  よろしく御答弁をお願いします。(拍手) 38 ◯副議長(豊沢 一男君) 麻生知事。 *知事答弁 39 ◯知事(麻生 渡君)登壇 現在の教育問題について非常にすぐれた見識の御質問であると思う次第でございまして、むしろ私がいろいろ言うよりも、現在の御質問の中をよくそしゃくしなければいけないと思っております。青少年アンビシャス運動を提唱し、具体的に一〇〇人委員会でいろんな議論をしていただいているわけでございますが、この運動は、いろんな意味で豊かな心を持つということ、そしてまた現在、どんどん世界が一体化いたしておりますが、そういう中で広い視野を持つ、そしてまたみずからの生き方、これを自分で考えて、それを自分で実現をしていくという努力を積極的にしていく、前向きな努力をしていく。加えまして非常に大切なことは、社会とみずからの関係、すなわちよく言われます公と私ということの関係につきましてしっかりした認識を持つ、こういうような青少年を育てるということを目標にいたしたいというふうに考えているわけでございます。  御質問の中にもございましたように、倫理観とか規範意識が乏しい、そしてまた人間関係をつくることに非常に困難を覚えているというような人間関係の希薄化というようなことが指摘をされております。こういう点は確かにそのとおりでございます。ただ私は、今の学校とか青少年の状況を見ました場合に、やはり前向きに努力をしてやっていく、それがうまく進んでいっている、成果を上げておるということについて、積極的にこれを奨励する、あるいは褒めていく、それによってまた次の段階に進んでいくというようなことをやっていくということが非常に大切であると。どうしても結果が同じようになればいいというか、結果平等というような考え方が強いわけでありますけれども、この考え方が強いと、何をやっても余り差がつかない、自分の特色が出ない、褒めてもらえないということでありますと、科学でいいますと定常状態になってしまうわけでありまして、そういう中では、次の目標なり、次の成長していこうという意欲が、動機がわいてこない。こういう状況を何とか直していきたいというふうに思っているわけでございます。  それから第二点でございますが、現在の国全体の教育についての議論でございますけれども、これは最近のいろんな青少年をめぐります深刻な事態、犯罪あるいは学校教育について伝えられておりますいろんな学級崩壊その他の問題を見るにつけましても、一方でどんどん世界は変わっておるという状況の中で、やはり日本の教育の基本的なあり方につきまして、しっかり考えなければいけないときであるというふうに思っております。したがいまして、次の世代、すべてを託していく若者たちをどういうふうに育てていくのか、これはまさに国を挙げての教育公論をすべき時期であるというふうに思っております。その中の一つの試みといたしましてアンビシャス運動ということも考えているわけでございます。そのような認識で考えました場合に、教育改革国民会議が置かれまして検討がされているのはまさに時代の要請であると思っております。その中で、教育基本法のあり方といった重要な課題について、よく議論をするということがぜひ必要であるというふうに、私は考えているわけであります。 40 ◯副議長(豊沢 一男君) 光安教育長。 *教育長答弁 41 ◯教育長(光安 常喜君)登壇 教育の基本認識と教員の資質についてということでお尋ねがございました。これからの教育の目標につきましては、子供たち一人一人の個性あるいは創造性を伸ばして、豊かな心と幅広い視野を持って、みずからの生き方を考え、志を持ってたくましく生きていく力を育成をしていくということが大切であるというふうに考えておる次第でございまして、そういった認識が広まりつつあるというふうにも考えておる次第でございます。このような目標を達成いたしますためには、学校、家庭、地域がそれぞれに信頼関係を結び、協力して取り組む必要があるわけでございますが、それぞれの果たすべき役割あるいは具体的な連携の方策等につきましては必ずしも社会的な合意が形成されている状況にはないと考えざるを得ないと思っております。そういった意味で、教育に関する認識に揺らぎがあるのではないかという御指摘は私も賛同いたすところでありまして、今後幅広い論議の中で、こういった事柄についての共通認識を得るように、それぞれが努めていくということが必要であるというふうに考えます。  加えまして、「教育は人なり」と言われております。教師には的確な現状認識と将来への洞察力、さらには教師としての使命感、責任感に裏打ちされた高い教育理念と指導力が求められております。学校教育はそうした使命感、責任感のある教師が、その学校の教育目標と指導方針を共有をして一体となって取り組んだときにその大きな効果を上げ得るものである。そのためには、校長を中心として全教師が互いに信頼関係を結び、各自が自分の教育活動に責任を持ちつつ協力し合うことが不可欠であると考えております。県教育委員会といたしましては、こうした教師の育成のために、これまでにもあらゆる場を通しまして教師としての意識改革と資質向上に努めてきたところでございます。今後とも子供への愛情と使命感を持って、みずからの教育観や指導に責任を持てる教師の育成、確保に鋭意努めてまいる決意であります。 42 ◯副議長(豊沢 一男君) 本日の一般質問はこれまでとし、残余は七月三日取り進めることにいたします。  本日はこれをもって散会をいたします。           午 後 二 時 二十六分  散 会 Copyright © Fukuoka Prefecture All Rights Reserved. ↑ ページの先頭へ...